この記事でわかること
千葉工業大学の講義「web3・AI概論」では、国内発となる「AI大学講師」の実証実験が行われています。
これは、学生の全学習プロセスを記録・蓄積したAIが、一人ひとりの学習履歴を深く理解した上で、個別最適化された指導を提供するもの。最大の特徴は、収集された学習データがデジタル証明書として発行される点にあります。
信頼性の高いデータを基盤とすることで、AIが不確かな情報提供や裏付けのない説明をすることを防止。学生の学習パターンやつまずきやすいポイントを理解した上で、最適なタイミングで適切な問いかけや助言を行います。
次世代のインターネットサービスを開発する「web3・AI概論」
千葉工業大学の講義「web3・AI概論」は、web3人材輩出を目指す教育プログラムです。
千葉工大の大学生・大学院生はもちろん、他大学の学生や社会人も学ぶことができ、2025年度春学期は240人の受講生がオンラインで学んでいます。
web3・AI概論は、「web3概論」(2021年度より開講)がパワーアップしたプロジェクト実践型の授業になります。ブロックチェーンや暗号資産、NFTなど次世代のインターネットであるweb3技術はもちろんのこと、生成AIや大規模言語モデル、ノーコード、ローコードツールなどの最新テクノロジーをツールとして操りながら、次世代のインターネットサービスを開発します。
実はいま、このweb3・AI概論では日本国内発となる「AI大学講師」の実証実験が行われています。
VC活用による正確な情報に基づいた、質の高い指導
AI大学講師とは、学生の全学習プロセスを記録・蓄積したAIが、一人ひとりの学習履歴を深く理解した上で、個別最適化された指導を提供するものです。
プロセスとしてまず、学生が授業内で取り組んだ課題や発言、質問など、あらゆる学習活動をデジタルデータとして記録します。つぎに、これら学習データは、改ざんが不可能で永続的に保存されるVerifiable Credential(検証可能なデジタル証明書、以下VC)として発行されます。
そして、VCはカスタマイズされたChatGPTの機能「GPTs」に連携され、学生一人ひとりの学習履歴や特性を分析するためのデータソースとなります。
AI大学講師の最大の特徴は、このVCとAIの連携です。信頼性の高いデータを基盤とすることで、不確かな情報や裏付けのない説明が提供されることを未然に防止するからです。
VCは、これまでも「web3概論」で活用されてきました。
2023年度春学期の講座では、学修歴証明書として254 名にNFT(唯一無二のデジタルデータ) とVCを発行しています。
2023年度春学期のweb3概論で単位取得者に与えられた、Kawaii SkullデザインによるオリジナルNFT(左は通常版、右は成績優秀者向けのプレミアム版)
同 単位取得者に与えられたVC
「AI大学講師」の革新性
一人ひとりの学習履歴を深く理解したAI大学講師が提供するのは、個別最適化された対話型の指導です。
学生の学習パターンやつまずきやすいポイントを理解した上で、AIは最適なタイミングで適切な問いかけや助言を行い、学習をサポートします。
「なぜそのように考えたのか」「別の視点からはどう捉えられるか」といった対話を通じて思考プロセスの言語化を促すことで、学生は、自分の思考を体系的に整理し、表現する機会を得ることができます。
すでに受講生からは、「自分の考えを導き出してくれるので、曖昧だった思考が少しずつ整理され、深く考える力が育ちます」といった声が上がっています。
実証実験は授業が終了する2025年7月まで実施し、定量的・定性的の両面からデータを収集・分析。実験結果を基に必要な改良を加えた上で、全国の大学への段階的な展開を計画しています。