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ワクチン開発に従事する私は、世界3大感染症のひとつである結核に注目して研究を進めています。
挑戦している新しい結核・NTM(非結核性抗酸菌)ワクチンの開発では、新しい組換えBCGを作製。このワクチンを接種したマウスで、従来のBCGよりも効果的に結核菌の感染を抑えられることが確認できていて、技術の特許を取得しました。これを応用してCOVID-19を含めた結核やNTM以外の新興・再興感染症、難治性感染症に対するワクチンの開発も試みています。
新たな感染症流行に備えて、迅速にワクチン開発ができるように研究を続けています。
新しい結核・NTMワクチンに挑戦
ワクチン開発に従事する私は、世界3大感染症のひとつである結核に注目して研究を進めています。
結核に対しては、古くからBCGというワクチンが使用されてきました。BCGは乳幼児の結核重症化の予防には効果的ですが、成人の結核予防効果は限定的です。また、非結核性抗酸菌(NTM)の感染者数が増加傾向にあることが課題となっています。NTMは結核よりも薬が効き難く治療が難しいとされています。
そこで、私は新しい結核・NTMワクチンの開発に挑戦しています。
現在までに、BCGにNTM由来のAg85B抗原を発現するプラスミドを組み込んで、新しい組換えBCG(rBCG-Mkan85B)を作製しました。このワクチンを接種したマウスでは、従来のBCGよりも効果的に結核菌の感染を抑えられることが確認できていて、技術の特許を取得しました。
迅速な情報発信で社会へ還元
私は、母子感染に関する研究も行っています。
お母さんが感染症にかかっても、必ずしも胎児には感染しないので、胎盤には何らかのバリア機能があると考えられています。
コロナ禍では、102例の症例を収集し解析を行いましたが、分娩時に母体がCOVID-19に感染していた場合、胎盤でウイルスが検出されても胎児・新生児への感染は見られませんでした。インフルエンザウイルスにおいても同様の調査結果が出ており、胎盤でのウイルスゲノムの複製は抑制されていると考えられます。一方で、母体から胎児・新生児に感染するとされている風疹に関しては、胎盤からはウイルスはほとんど検出されないことが分かっています。
この胎盤のメカニズムを解き明かすことで、新たな治療法や予防法を見つけるヒントになるのではないかと、より詳細な解析に取り組んでいます。
One Healthで世界の健康を考える
感染症対策においては"One Health"の考え方のもと、ありとあらゆる分野が関わって取り組むことが重要です。
"One Health"とは、ヒトと動物、それを取り巻く環境は相互に密接につながっていると捉え、これらの健全な状態を守るために分野横断的に解決に取り組もうとする考え方です。私の従事する微生物学だけではなく、医歯薬学、獣医学、法学、経済学、危機管理学、教育学、情報科学など、幅広い分野の専門家が結集し、分野を横断した協同体制をとることが求められています。
その点で、日本大学には、各分野の専門家が揃っており、広範な研究を進められるスケールメリットがありますから、多分野と連携しながら感染症に対応できる社会の実現を目指したいと思います。