医学

難病である膠原病。その根本原因を基礎研究で追求する

日本大学 医学部 医学科 武井 正美 元教授

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この記事でわかること

私は、血液膠原病内科学分野で臨床・基礎研究に従事しています。
膠原病は、免疫システムの誤作動で起こるさまざまな疾患の総称で、関節リウマチでも原因が不明です。原因が解明されなければ、完治に至る治療法も確立されませんので、基礎研究で膠原病の根本原因を追求しています。
オプジーボ(がんの免疫治療薬)でノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑先生は、基礎研究をきちんとやる方で、もっとすごい免疫の研究をされています。基礎研究は何に興味を持つかが重要。好きなものを見つけて、責任を持って取り組むことが一番大事です。

基礎研究は好奇心を持つことが重要

私は、血液膠原病内科学分野で臨床・基礎研究に従事しています。
研究志向で大学に残り、製薬会社が開発した新薬の治験を行う臨床研究をしていましたが、そちらは若い人たちに任せて、いまは病気の根本原因を追究する基礎研究が中心です。

昨年、オプジーボ(がんの免疫治療薬)でノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑氏は、自分が大学院生の頃から尊敬している先生です。本庶先生は基礎研究をきちんとやる方で、オプジーボ以前にも、もっとすごい免疫の研究をされています。
臨床の専門医制度が始まって以降、若い人たちにとってはその資格を取ることが一番の目標となり、基礎研究に興味を持つ者は少なくなりました。私は、若い人にも研究の面白さを分かってほしいと思って、座学の折にはよくその話をしています。

基礎研究はどういうことに興味を持つかが重要で、私は、「何でもいいから好きなものを見つけて、責任を持って取り組むことが一番大事だ」といつも言っています。
今は科学全体が大きく変わろうとしている時機です。医学も若い人が自由な発想で行う研究を認めていかないと、今後新しいものは出てこないと思います。

一方、臨床の研究室は患者さんのためにあります。
どんな状況でも、患者さんがつらい思いをしているときに臨床を放り出すわけにはいきません。最終的には自分の患者さんの診方に影響を与える(新たなより良い療法を見つける)研究でなければいけないのです。

膠原病は先行きの予想ができない難病

膠原病は、免疫システムの誤作動で起こるさまざまな疾患の総称です
関節リウマチなど一般的なものでも原因が不明で、原因が解明されなければ、完治に至る治療法も確立されません。

日本リウマチ学会で初めての発表を終えた後輩たちと(2015年4月、名古屋)

日本リウマチ学会で初めての発表を終えた後輩たちと(2015年4月、名古屋)



先行きの予想ができないため、選択した治療法がその患者さんに適しているのかどうかも分かりません。膠原病は難しい病気なのです。
私の研究室チームでは、一人でも反対意見のある治療法は選択せず、全員の意見が一致するまで徹底的に話し合っています。

私は、ストレスなど精神的なものが免疫の指標に大きく関与することを、過去の臨床で何度も経験しました。
ですので、自分の好きなことをして大いに楽しんだり笑ったりすることが、膠原病には一番の予防法かもしれません。要はストレスをためないことですが、「言うは易く行うは難し」です。本人には自覚のないストレスというのもありますからね。

正解は簡単に導けません。でも、だからこそ研究のしがいがあると言えます。

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