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この記事でわかること
日本大学理工学部機械工学科の「内燃機関」は100人以上が受講する科目です。内燃機関はエンジンのことで、進化し続けるエンジンの仕組みを基礎学問に落とし込んで教えます。
授業では社会問題も取り上げています。たとえば、ガソリンエンジンでも水素や再生可能エネルギーを燃料にすることを目指していて、ガソリン車からEV(電気自動車)に移行することがCO2削減の唯一の解ではありません。このように科学的・技術的側面から社会問題の実際を一緒に考えています。
授業を通して、いままでになかったものを生み出すための基礎を作ることを目指しています。
EVに移行することが、CO2削減の唯一解ではない
私が担当する、機械工学科3年次の選択科目「内燃機関」は、毎年100人以上が受講する講義です。
内燃機関とは、自動車や建設機械、発電機などのエンジンのことです。世界中で使われ進化し続けるエンジンの仕組みを、基礎学問に落とし込んで教えています。
私は、教科書にない内容も取り上げることを心掛けていて、例えば、新しく開発されたエンジンであれば、その原理や基礎理論だけでなく、設計の意図も解説します。また、自動車メーカーが測定する「カタログ燃費」は実現できるのか、ハイオク車にレギュラーガソリンを入れたらどうなるか、大きい車と小さい車ではどっちのほうがエンジンの燃費がいいか、といった話もします。
社会問題も取り上げていて、温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きゼロにする「カーボンニュートラル」などの話をします。
カーボンニュートラルと聞くと「エンジンの燃料はガソリンだから、将来、エンジンはなくなるの?」と思う学生もいますが、エンジンにおいても、水素や再生可能エネルギーを燃料にするカーボンニュートラルを目指しています。ですから、モーターで動くEV(電気自動車)に置き換わることが、カーボンニュートラルの唯一の解ではなく、エンジンも含めたさまざまな技術革新があってこそ、カーボンニュートラルが実現可能になるのです。
科学的、技術的に考えると、社会問題は実際にどうなるのか。そこを一緒に考えます。
これまでの学びが結びつくおもしろさ
日本大学理工学部の機械工学科では、機械工学の4力学といわれる「機械力学」「材料力学」「流体力学」「熱力学」を3年次の前期までに徹底的に学びます。また、1年次にエンジンの分解組み立てを行い、実際にエンジンを回す実習も経験します。
内燃機関の授業は、これまでに学んだ4力学の基礎理論が、実際に機械の中で働いていることを確認するものであり、実習での経験と知識を結びつけるものでもあります。
機械工学科の学生の多くは、社会に出てものづくりに関わりますが、それは自動車メーカーだけではありません。自動車業界でも、エンジンではなく電気自動車や燃料電池に関わるかもしれません。
それ以外のあらゆる機械、例えば工作機械、風車、電子機器、医療機器、遊具など、社会での活躍の場は無限にあります。食品メーカーに入る卒業生もいます。
私は、内燃機関の学びを通して、今までなかったものを生み出すための基礎を作ることを目指しています。ここでの学びを、将来携わるさまざまな分野の業務に生かしてもらいたいと思っています。