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この記事でわかること
広告の役割は、ブランド価値を高めて売り上げや利益に貢献することですが、近年は社会をより良い方向に導くことも期待されています。あるトイレタリーメーカーは、ブランドの一方的見解を示すのではなく、社会課題について対話する機会を創出して社会ムーブメントを起こしました。
広告の基本はアート(印象的な表現)&サイエンス(客観的なデータ)です。科学的な裏付けがあってこそ、優れた広告が生まれます。マーケティング的な視点からコミュニケーションを発想したり講評したりできるようになることが、商学部で広告を学ぶ意義です。
データで広告の効果を論理的に検証
私の専門の「広告コミュニケーション」とは、広告が消費者にどのように受け取られ、どのような反応をするのか、望ましい広告のあり方などについて理解を深める学問領域です。
消費者の広告への反応や評価が、使用するメディアによってどのように異なるかを消費者行動研究に近い方法論で研究しています。
この研究の目的は、単にメディアや広告表現に優劣をつけることではなく、データ分析を通じて広告の効果を論理的に検証する点にあります。
期待される、広告の新しい役割
広告の役割は、ブランド価値を高めて売り上げや利益に貢献することです。自社の商品やサービスを長期間推してくれるファンをつくることや、ブランドイメージの構築が重要になります。
しかし、近年は社会をより良い方向に導く役割も広告に期待されています。
例えば、あるトイレタリーメーカーの「#この髪どうしてダメですか」というキャンペーンは、頭髪指導を受けて不登校になった生徒が行政を訴えた事件がベースにあり、キャンペーン開始後、SNSへの投稿が激増して社会的ムーブメントになりました。ブランドの一方的見解を示すのではなく、社会課題について対話する機会を創出したことが共感を呼んだのです。
「事実に基づく広告表現は、良質な広告コミュニケーションになり得る」という、これからの広告の在り方に一つの道を示した例と言えるでしょう。
商学部で学ぶサイエンスが、優れた広告を生み出す
広告をつくるクリエイターは、主に芸術系の大学や専門学校を出た人。いわばアウトプットの技術を持つ人たちが多いです。
一方、商学部の学生が将来広告業界に関わるとすれば、マーケターや制作会社の営業担当など、企業の課題を正確に把握してクリエイターに伝えるという、インプットの役割を果たすことが求められます。
そのためには企業や商品、サービスの課題は何なのか、消費者のニーズや社会的背景も併せて読み取り、どうクリエイティブに反映するかを真剣に考える、マーケティング的発想が必須です。
私のゼミでは、実際に広告を作り、制作の難しさを体験しつつ、マーケティングに基づいて広告を創り出す発想力を磨いています。
広告の基本はアート&サイエンスです。豊かな感性で創られた印象的な表現と、心理学の論理や消費者行動の客観的データに基づく科学的な裏付けがあってこそ、優れた広告が生まれるのです。
商学部でサイエンスを学ぶと聞くと不思議な感じがしますが、倫理的な問題を頭に入れて、マーケティング的な視点でコミュニケーションを発想・講評するのがサイエンスで、そこに商学部で広告を学ぶ意義があります。