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この記事でわかること
アスレティックトレーナーの資格を持つ私の授業のひとつに、「アスレティックリハビリテーション演習」があります。アスレティックリハビリテーションは競技復帰を目指し競技力を高めることを⽬的にしたもので、実際にケガを負っていたり、身体に不安を抱える学生が多く受講します。ケガや故障の原因になりやすいのは「くり返し行う動作」ですので、各競技の特長的な動作を理解することは必要不可欠。しかし、何よりも予防に勝る治療はありません。身体に痛みが出るメカニズムを理解し、それを防ぐための知識を得ることもとても重要です。
競技復帰のためのアスレティックリハビリテーション
アスレティックトレーナー(A.T.)の資格を持つ私の授業のひとつに、「アスレティックリハビリテーション演習」があります。
一般の人は、ケガをして入院・治療・手術をしたら、日常生活を送れる状態になるまでリハビリテーションを行います。それを「メディカルリハビリテーション」と言います。しかし、アスリートはそれだけでは十分ではなく、競技復帰が可能となるまで「アスレティックリハビリテーション」を行います。これは保険診療では行えません。
授業では、競技力を高めることを⽬的に、実践的な授業を行います。ですから、実際にケガを負っていたり、身体に不安を抱えたりしている学生も多く受講しています。
言葉で表現できる力が重要
競技に関わらず、ケガの原因になりやすいのが「くり返し行う動作」です。
アスレティックリハビリテーションにおいて、各競技の特長的な動作を理解することは必要不可欠で、授業では、どの段階で負荷がかかり、ケガの原因になるのかということを具体的な例をあげながら教えています。
例えば野球なら、有名なプロの投手の成績の良い時期と悪い時期の連続写真を見せて、違いを把握してもらっています。
スポーツにおいてよく使われる表現に「コツ」や「カン」などがありますが、スポーツ科学の本質は「言葉で表現できること」です。どのように観察して、どこが悪いのかを言葉で表現できる力を身に付けることが重要です。
予防に勝る治療はない
私が、学生に常々伝えている言葉に「予防に勝る治療はない」があります。
一見リハビリとは相反するように思えるかもしれませんが、身体に痛みが出るメカニズムを理解し、それを防ぐための知識を得ることはアスレティックリハビリテーションにおいても重要な要素です。
そのためには、ヒトの身体の理(ことわり)、姿勢、動作、制御などを正しく理解する必要があります。
そして、私はくり返される動作に伴う使い過ぎ症候群(金属疲労に例えられる)を重視します。
金属疲労とは、この使い過ぎにより身体に繰り返し微細な外力が加わり、結果として疲労を起こし筋肉や骨にひずみが生じる故障のことです。競技スポーツで大きな問題になるのはこの故障で、それを防ぐには予防が最善策になります。
スポーツ科学部では、国際大会で活躍した元選手や指導者、競技スポーツの実践者や研究者、ジュニア育成指導者など、豊富な経験を持つ教員が学修をサポートしています。
学びの重点を「アスリートコース」、「スポーツサポートコース」、「スポーツマネジメント・文化コース」のいずれかに置きながら、コーチングを中核に、医科学、自然科学、社会科学等、スポーツを取り巻く領域を学際的に学ぶことができる学部です。