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この記事でわかること
私の研究は、臨床医として患者に施行してきた治療手技を、健康な選手のコンディショニングに応用するものです。疼痛緩和治療器であるレーザーをツボに照射し、身体の柔軟性や疲労回復に応用する検証実験や、運動種目に対する各種介入実験などを行っています。他にも、スポーツ用アクセサリーやマウスガードなどが選手のパフォーマンスに与える影響も調査していて、レーザー同様に簡単な運動で数値の差が出ています。スポーツ医学は、スポーツ傷害に対する治療やリハビリ、予防だけではなく、競技力向上の役割も担っているのです。
自動車に例えると、ケガは交通事故、故障はオーバーヒート
私は、日大学医学部を卒業後、同整形外科学教室へ入局してスポーツ医学研究班に所属しました。そこでプロ野球選手やゴルファーなど、さまざまなアスリートの診療に携わってきました。
運動後には疲れを自覚するように、スポーツは体にとってストレス、つまり毒なのです。
でも、そのストレスを受けていろいろなホルモンが分泌され、結果的にパワーやスキルが向上していくため、医学が進歩した現在においても、スポーツとケガ・故障は、切っても切れない関係にあります。
スポーツ医学の分野では「スポーツ外傷=ケガ」「スポーツ障害=故障」と厳密に区別し、二つを合わせて「スポーツ傷害」と呼んでいます。
ケガは、練習や試合中に骨折、脱臼、断裂などの損傷を負うことですが、受傷部位が治れば問題なくプレー復帰が可能です。しかし、故障は、練習の繰り返しや局所の過度使用により炎症や疲労骨折などが生じるため、痛みを緩和する治療をしても、過負荷となる原因から修正しなければ、必ず再び同じ症状に悩まされます。故障は、疼痛緩和をしながら、原因究明と改善、正しい体の使い方やフォームを習得するなどの再発防止策を立てることが必要です。
故障はスポーツによる病気で、自動車に例えれば、ケガは交通事故で故障はオーバーヒート。しかし、マスコミがケガと故障をほぼ同義に報じているからか、両者に違いがあるとは思わない人が多いようです。
布袋屋ゼミでは、各競技部に所属する学生と共に、ケガや故障の予防・早期復帰やパフォーマンスアップについて研究しています
競技力向上の役割も担うスポーツ医学
私の研究は、臨床医として患者に施行してきた治療手技を、健康な選手のコンディショニングに応用するものです。
具体的には疼痛緩和治療器であるレーザーをツボに照射し、身体の柔軟性や疲労回復に応用する検証実験や、走る、跳ぶ、切り返すといった運動種目に対する各種介入実験などを行っています。
他にも、スポーツ用アクセサリーやマウスガードなどが選手のパフォーマンスに与える影響も調査していて、レーザー同様に簡単な運動で数値の差が出ています。
レーザーもアクセサリーも7割近くが記録を伸ばしていますが、万人に効くわけではありません。どの選手に効果的で、どう応用すべきかを知るために、介入方法を工夫し症例数を蓄積・検討しているところです。
スポーツ医学は、スポーツ傷害に対する治療やリハビリ、予防だけではなく、競技力向上の役割も担っているのです。