この記事でわかること
応用行動分析学では、言葉の「形」ではなく、その言葉の「機能」を見ることが大切だと言われています。
例えば、母親の「宿題をしなさい」という言葉に対して、子どもが「それって、あなたの感想ですよね」と近年の流行り言葉で対応するのは、「相手を黙らせることができる」という回避のメリットがあるからです。
近畿大学・総合社会学部の大対香奈子准教授は、「親子間の良い関係をつくるには、子どもの言葉にはどんな機能が隠されているのかを大人が観察して、行動を変えていかなくてはなりません。『ABCフレーム』という方法で分析すると、行動を起こしている環境設定がわかり、状況を変えていくことができます」と話します。
「親子間の良い関係をつくる会話」を応用行動分析学で紐解く
母親が「宿題をしなさい」と言ったときに、子どもが「それって、あなたの感想ですよね」と近年の流行り言葉を使って返事をするケースがあるそうです。お母さんは困りますよね。
どうしたら、良い関係をつくる会話になるのか、近畿大学・総合社会学部の大対(おおつい)香奈子准教授にお話を伺いました。
「私が専門とする応用行動分析学では、言葉の『形』ではなく、その言葉の『機能』を見ることが大切だと言われています」と大対先生は話します。
「"それって、あなたの感想ですよね"を子どもが使うのは、相手を黙らせることができるという回避のメリットがあるからです。子どもの言葉にはどんな機能が隠されているのかを大人が観察して、自ら行動を変えていかなくてはなりません」
ABCフレームで分析して具体策を見つける
大対先生によれば、応用行動分析学では、子どもがこの言葉を使う理由について、「ABCフレーム」という方法で分析することができるそうです。
「Antecedent=先行事象」
「Behavior=行動」
「Consequence =結果」に分けて考えていく方法です。
A=親が「宿題をしなさい」という出来事と、C=親の言葉を阻止できるメリットが、B=子どもが「それってあなたの感想ですよね?」と言う行動を起こしている環境設定、ということがわかります。
イラスト:川口真目
次に「なぜ親は『宿題をしなさい』と言うのか?」をABCフレームで考えてみます。
親は夕飯の準備をスムーズにしたい(C)から、子どもに「早く宿題を終わらせてほしい」と言う。
その親の行動(B)が、今度は子どものマウント行動の先行事象(A)となって、マウント行動を発動させやすくしてしまいます。
イラスト:川口真目
「つまり、先行事象(A)を起こさなければいいのです」と大対先生。
「具体的な策は、例えば夕飯の準備がスムーズにできる環境を作る。宿題をする机とご飯を食べるテーブルを分けたり、夕飯の準備を前日にまとめたりする。そうすれば『宿題をやりなさい』という言葉が減り、子どものマウント用語も減るでしょう」
相手が嫌だと思ったら自分を変える!
「それってあなたの感想ですよね?」という言葉そのものが「いい」か「悪い」かを問うても事態は解決しません。
問題なのは、二者の間でどちらかが「嫌だ」と感じたとき、どう対応するかということです。相手の反応を理解して、相手が嫌だと思ったときに自分を変えていく力が大切なのです。
「自分の中にイライラ、モヤモヤがある時は、一旦感情を外に出すことが必要です。その方法はABCフレームでもいいし、日記でもいい。メモなどにザクっと書くだけでもいいと思います。そうやって、『今ある感情が起こっている』という事実を俯瞰的・客観的な視点でみることが大切です」(大対先生)
良い関係をつくるための会話は、自分の感情を観察することが大事。それは、親子でも友達同士でも同じです。