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探究学習に力を入れる私立昭和学院中学校・高等学校(千葉県市川市)では、探究学習の成果を全校生徒が一斉に発表する「探究フェスティバル」を毎年開催しています。
2025年度は、外部コメンテイターの数や開催時間を大幅にアップ。はじめて近隣の中学校・高等学校も参加しました。1700名を超える生徒たちによる約700の探究発表の様子です!
昭和学院中学校・高等学校の2025年度「探究フェスティバル」(以下、探究フェス)は、2026年1月31日(土)に開催されました。
探究フェスでは、メインアリーナ(体育館)を中心に校内でポスターセッションやプレゼンテーション、展示、販売が行われ、生徒は発表だけでなく他の生徒たちの探究も見て回ります。
来校した保護者や一般来場者も一緒になって聞いたり、読んだり、体験したりする様子はまさに「探究の学園祭」といった雰囲気。
山本良和校長が、「お祭りは楽しいものですが、探究フェスティバルの『たのしさ』は内面から湧き上がる『愉しさ』です。今日は、発表する側・聴く側・受け入れる側として体験して、知的な愉しさを味わってください」と挨拶してスタートしました!
高校生と他校生徒による490のポスターセッション
昭和学院の探究は、中学生は「ソーシャルチェンジ」といった社会課題や起業に関するチーム探究を行いながら、探究のベースを学んでいます。
高校生は5つあるコースの特色に応じた探究活動で、自身でテーマを見つけるほか、コースによっては国際的な事象について深掘りしたり、理科分野に関わる本格的な研究を進めたりしています。
それら学内すべての探究活動に加えて、今年度は近隣の中学校・高等学校が参加。総勢1700名を超える生徒による700近い発表となりました。
約490枚のボードが立ち並ぶメインアリーナでは、ポスターセッションが行われていました。
ここは高校生や他校生の発表会場であることから、多くの中学生が「先輩たちはどんな探究をやっているんだろう?」と集まっていました。
探究フェスでは、生徒は45分ごとに「発表側」と「聴く側」を交代します。
高校1年生は今年度、8つの講座に分かれて課題解決に挑戦しました。
「これからの教育の理想像とは?」という講座に所属するS.Mさんは、D.Iさん、K.Kさんと3人で「教員の減少と対策」に取り組みました。
調べてみたら予想以上に教員が減っていることに驚いたそうで、「先生になりたいという人を増やすには、業務負担を減らさなくてはなりませんが、AIに頼りすぎるのは良くありません」とS.Mさん。1年間探究に取り組んでみて、「調べるだけでなく、自分なりに考えることは正直楽しかった」と感想を述べました。
教員になりたい人が増えていく社会について考えたS.Mさん(右)とD.Iさん(左)
講座「ディズニーの新商品を提案しよう」では21のグループ・個人が発表をしました。
「ズートピアカフェ」を提案していたのは、ディズニーアニメ『スートビア』が大好きなN.HさんとN.Tさんです。
東京ディズニーリゾートにはズートピアのスポットが少ないことから、世界観を存分に楽しめるカフェを考案したそうです。
N.Tさんは「講座のメンバーはみんなディズニーが好きだから、毎回とても楽しかった」と言い、N.Hさんは「敷地に設置する場所はあるのか? 本当に集客できるのか? といった現実的な課題に踏み込むことが大変でした」と話します。
カフェでの体験やメニューを提案したN.Tさん(右)とN.Hさん(左)
高校2年生になると自分でテーマを見つけます。コースによっては興味あるゼミを選択することになっていて、「平和学習ゼミ」に所属するS.Hさんは、「平和とは何か」というテーマで取り組みました。
小学生の時に訪れた沖縄で「ひめゆり学徒隊」のことを知って以来、ずっと平和について考えていたそうです。
S.Hさんは、まず「自分にとって何が平和か」を深く考え、「喜怒哀楽を自由に出せる状態というのは、人生においてどんなに幸せか」という答えに辿り着いたそうです。そこからさまざまな人の考えを調べていきました。
「ずっと興味があった『平和』をまとめることができて良かったです」と語るS.Hさん
このほか、校内の各教室や廊下でも展示やプレゼンテーション、販売などが行われていました。
実体験から導き出された、説得力あるプレゼンテーション
ここからはメインアリーナで実施された熱意あふれるプレゼンテーションをご紹介します。8分間の発表の後に10分間の質疑応答という進行でした。
14歳の時に摂食障害で30kgまで体重が減り、甘酒で命をつなぐことができた3年生のS.Nさんは、「麹の価値を社会に届ける!」というタイトルでプレゼンテーションしました。
自身の体験談からはじまり、麹のパワーを論理的に解説し、それを社会に届けるための具体的なプランを発表。
S.Nさんはすでに起業していて、米麹スイーツ販売のECサイトや、麹商品の企業コラボの準備を進めているところです。
コメンテーターや大人の観客からさまざまな質問が寄せられ、それらに対しても自信をもって答えていました。
プレゼンテーション後、S.Nさんは「若年層の摂食障害が急増しています。若い人たちが摂食障害にならないように、予防するためのNPOも立ち上げていきたいです」と未来への展望を語りました。
「大学で学際的に学び、摂食障害の人を減らす方法を考えたい」と話すS.Nさん
S.Nさんのプレゼンテーションの様子。招かれたコメンテーターからもいろいろな質問が出された
堂々たるプレゼンテーションを披露していたのは、芝浦工業大学柏中学校の2年生、A.HさんとG.Nさんです。
「1990年代と現代の電化製品の仕様比較から見る技術進化の傾向」と題されたプレゼンテーションは、1980〜90年代の電化製品やコンピュータが現代までいかに進化したかを調べたもの。
中には当時と比べて数千倍の性能を持つ機器もあり、その理由も探りました。G.Nさんが古い電子楽器やコンピュータなどを集めるのが趣味で、今回の探究フェスのためにA.Hさんと一緒に1ヶ月間かけてまとめたそうです。
二人とも「調べる過程が楽しかった」と話します。A.Hさんが「『比較』が今回のテーマでした」と言うと、G.Nさんが「相対的な見方をしたことで、冷静に状況を分析することの重要性を知りました」と成果を教えてくれました。
A.Hさん(左)とG.Nさん。この日は、いろいろな生徒の発表を見て回るのを楽しみにしていた
A.HさんとG.Nさんの発表の様子
うまくいったこと、思うようにいかなかったこと、すべてが探究
これまで半日の開催だった探究フェスは、今年度、全日開催へと拡大しました。
さらに、はじめて他校へ参加を呼びかけ、コメンテーターの数も増やすことで、「保護者の方に日頃の探究活動を知ってもらう場」から「探究を通じてつながり、世界を広げ、自分を変えるきっかけとする場」へと進化しました。
これらすべての準備を進めてきたのが、中1から高2までの生徒23名で構成された「実行委員会」です。
実行委員会長のK.Sさん(高2)は、「10月に発足してから週1、2回定期的に集まってきました」と話し、時には高校生委員が20時近くまで残って取り組んだそうです。
「イベントチーム、広報チーム、交流チーム、執行部に分かれているので、情報共有がとても大変でした」と振り返ります。
昭和学院が「中高生にとっての探究のハブ」になることを夢見て活動してきた実行員会。
広報チームは近隣の中学校・高等学校のすべてにパンフレットと手紙を送付し、コメンテーターとして参加していただけるように大学教授や卒業生などにお願いしました。
その結果、東京と千葉の中学校・高等学科10校から63組132名の生徒、そして33名のコメンテーターが来校しました。
コメンテーターたちの隣でオープニングの挨拶をするK.Sさん
「探究フェスはとても成功したと思います。予想以上に多くの方に来校いただき、いろいろな探究の成果を見ていただけました。これから引き継ぎ書を作成します。来年はさらにグレードアップした探究フェスになると信じています」とK.Sさんは話しました。
会長のK.Sさん(右)と副会長のM.Hさん
最後に、パンフレットに記された実行委員会メッセージの一部をご紹介します。
「うまくいったことも、思うようにいかなかったことも、そのすべてが探究です。探究フェスティバルが生徒の『知りたい』気持ちを深め、今後の学びへとつながることを願っています」