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防衛省防衛研究所で主任研究官を務めていた私は、国家の安全保障やインテリジェンス(情報活動)を研究しています。
科目「インテリジェンス論」では、スパイ、衛星写真、通信傍受情報、公開情報、さらにはサイバー空間での偽情報対策など、国の最前線で行われている情報収集の手法や情報の生かし方を学び、実際に衛星写真の分析などにも挑戦します。
インテリジェンスとは、自然災害やサイバー攻撃、安全保障など、さまざまな危機から社会を守るための「情報分析術」。組織のリスクマネジメントをはじめ、社会を生き抜く上で役立つスキルであり、一生の財産になります。
情報収集の手法を学び、分析を実践する「インテリジェンス論」
防衛省防衛研究所で主任研究官を務めていた私は、現場での経験をもとに、国家の安全保障や、危機を未然に防ぎ被害を最小限に抑えるための「インテリジェンス(情報活動)」を研究しています。
「インテリジェンス論」は、危機管理の基礎となる情報収集・分析を、理論と実践の両面から学ぶ授業です。大学教育においてこの科目を設置しているのは、おそらく日本大学危機管理学部だけでしょう。
講義では、スパイ、衛星写真、通信傍受(暗号)、公開情報(オシント:インターネットや報道といった公開情報を分析する手法)など、国の最前線で行われている情報収集の手法や情報の生かし方を学び、実際に分析していきます。私が大切にしているのは、単なる知識の修得にとどまらず、「現実の社会で使える生きた技術」を身に付けることです。
危機管理学部には、将来、警察官や自衛官、消防官を目指す学生、防災や治安、安全保障に興味がある学生など、広く「危機管理」に関心を持つ学生たちが集まります。授業で行う衛星写真の分析では、たとえば能登半島地震の前後の写真を用いて、どこにどのような変化(被害や地殻変動)が起きたかを詳しく調べます。
現代において、人工衛星は社会になくてはならない重要なインフラです。
衛星の数が増え、カメラの解像度やレーダーの性能も向上したことで、道路の沈下の状況をミリ単位で計測して、下水管の状況を調べたり、作物の収穫時期までも判断することが可能になりました。この衛星写真を分析するスキルは、行政や幅広い産業分野、さらには急速に拡大する宇宙ビジネスの現場でも求められています。
衛星画像分析の講義の様子
また、授業では「ジオロケーション」という手法も実践します。これは1枚の写真から、それが地球上のどこで撮影されたものかを突き止める作業です。複数のデータを分析して組み合わせる過程を通じて、分析手法の修得のみならず、「無数のデータをどうつなぎ合わせれば、災害や危機の本質が見えるか、デマを暴けるか」という、これからの時代に不可欠な思考プロセスが鍛えられます。
官庁の現場でインテリジェンスを実感
スパイからサイバー空間の偽情報まで、インテリジェンスのカバーすべき領域は広く、私のゼミナールにも多様な関心を持った学生が集まります。そんな彼らの多くは公務員を志望しています。
そこでゼミナールでは、都心のキャンパスという立地を生かして、国会や霞が関の中央官庁、自衛隊の施設など、学生が希望する「現場」を年に3~4回ほど訪ねています。
そこでは単なる見学だけではなく実務の擬似体験もします。たとえば法務省公安調査庁では、実務家から仕事の説明を聞いて意見交換をした後、「提示された情報を分析し、大臣に報告書を作成せよ」という、実際の官僚の仕事に挑戦します。
法務省公安調査庁にて
航空自衛隊百里基地にて
バラバラの情報を分析して「次の行動の決断」に使えるようにするのがインテリジェンスの本質です。そしてその意味は、外務省なら国益、警察なら治安維持、地方自治体なら防災といったように、組織ごとに大きく変わります。現役の官僚や自衛官、警察官といった「現場のプロ」から、それぞれのインテリジェンスを肌で感じながら話を聞くことで、学生たちは自分の具体的な将来像を描いていきます。
不確実性の高い世界で、最適な判断を下せる人になる
インフォメーション(情報)は「素材」にすぎず、そこに適切な評価・分析を加えたインテリジェンスこそが、具体的な判断を下す「武器」になります。
インテリジェンスとは、自然災害、サイバー攻撃、安全保障など、私たちの身近にあるあらゆる危機から「社会を守るための情報分析術」です。ここで修得するスキルは、公務員として現場に立つ時はもちろん、一般企業のリスクマネジメントや、変化の激しい社会を生き抜く上でも強力な力となり、一生の財産になるはずです。
つねに新しい状況に直面する危機管理には、絶対的なルールや手法があるわけではありません。
いろいろなことに好奇心を持ち、社会のさまざまな危機に立ち向かいたいという熱意ある人は、ぜひ危機管理学部で学んでください。省庁や企業の現場で働いてきた実務家教員たちが、実践的な学びの場を用意してお待ちしています。