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近年、初任給を大幅に上げる日本企業が増えています。背景にあるのは、諸外国の給与水準に近づけて優秀な人材を獲得するという狙いです。
日本の新卒の平均年収は262万円ですが、米国は600万円台、スイスは800万円台に達します。この差は、賃金の支払い基準が日本は「人」、海外は「仕事」であることに起因します。
年齢が低く経験が浅いために賃金も低くなる日本では、優秀な若者は海外の企業に就職しています。日本も仕事基準(ジョブ型)が進み、企業間だけでなく、同じ企業内でも職務やスキルによって初任給に大きな格差が生まれる時代になります。
ユニクロなどを展開するファーストリテイリングが、2023年から初任給を30万円にして話題になりました。また、NECでは優秀な研究者に対して新入社員でも年収1000万円以上を支払う制度を導入し、サイバーエージェントも初任給を42万円に引き上げています。
これらの企業が初任給を高額にするのは、海外の給与水準に近づけることで、世界で通用する優秀な人材を獲得することが目的です。では、なぜ日本と海外ではこれほど初任給に差があるのでしょうか? Q&Aで紐解いていきましょう。
そもそも、日本と海外とでは、どれほどの差があるの?
日本企業の初任給の平均は、月給換算で22万8500円(令和4年)、年収ベースでは約262万円です。
一方、海外の初任給(平均年収)に目を向けると、スイスが800万円台、米国が600万円台、ドイツが500万円台、ノルウェーが400万円台となっています。
もし、米国の大学に入学して、そのまま現地で就職して働けば、日本の倍以上の初任給が得られます。
ただし、米国でも初任給が高くなりすぎたために、新卒者の仕事はAIに代替され、就職ができない人が増えています。
なぜ、海外は初任給が高いの?
賃金の支払い基準が日本は「人」であるのに対し、海外は「仕事」だからです。
日本の「人基準」は、年齢や勤続年数、本人の保有能力に対して支払われます。そのため、若くて経験の浅い新入社員は、組織のなかで一番低い賃金からスタートすることになります。
一方の「仕事基準」は、担当する職務(ジョブ)の価値に対して支払われるため、若い人も年配の人も、同じ仕事をしていれば同じ賃金になります。その代わり、仕事の効率や質を上げても賃金は上がりません。
日本で初任給がこれほど注目されるようになったのは?
大幅な引き上げが話題になっているのはここ1、2年です。
近年、優秀な技術を持つ日本の若者が、条件の良い外資系企業や海外の企業へ流出するケースが増えてきました。そこで、危機感を抱いた日本企業は、特定の職務に絞って高い給与を払う「仕事基準(ジョブ型)」を導入しはじめました。
日本の企業には賃金表があるため、初任給(賃金表のスタート地点)を上げると全社員の給与も連動して底上げしなければならず、かなりの負担でした。
しかし、ジョブ型であれば「その専門職だけ」初任給を引き上げることができます。
「会社」ではなく、「仕事」で決まる初任給
今後は、企業間だけでなく、同じ企業のなかでも初任給の差が広がっていきます。
これまでは文系・理系を問わず、最終学歴(高卒か、大卒か)が同じであれば、社内の初任給は全員一律が当たり前でした。しかし、今後は企業が初任給を武器に、グローバル規模で人材の獲得競争を展開することになります。
「どの会社に就職するか」ではなく、「何の仕事(職種)に就くか」「どんな技術を持っているか」によって、スタートラインの時点でかなりの格差が出てくるでしょう。
これから大学を目指すみなさんも、こうした社会や経済の変化を念頭に置きながら、学部選びをしてみてはいかがでしょうか。