国際教養学

トランプ現象は、ニュースや経済の損得だけでは絶対に理解できません

日本大学 国際関係学部 国際教養学科

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日本大学国際関係学部国際教養学科は、「世界で起きている問題の『本質』を見極める力」を養うことができる学科です。
「宗教と国際政治」をテーマとする松本佐保教授のゼミでは、「ピーター・ティールや共和党の保守思想」について研究しています。
アメリカのテクノロジー業界を牽引する実業家ティールは、トランプ大統領の強力な支持者。あらゆる政府機関とデータインフラに関する契約を結び、かつての部下であるヴァンスを副大統領に押し上げるなど、政権に多大な影響を与えています。そんな彼の思想と宗教保守の考えが結びつき、トランプ現象は生まれました。

日本大学国際関係学部国際教養学科は、複数の語学を学ぶだけでなく、「世界で起きている問題の『本質』を見極める力」を養うことができます。

トランプ政権、ウクライナ情勢、中東問題など、現代の国際社会の課題を理解するには、単なる政治学の知識だけでは足りません。その国や地域の「歴史」「宗教」「文化」「文学」といったバックグラウンドを総合的に知る必要があります。
本学科では、歴史、思想、芸術、宗教、心理学、教育学、文化人類学などの専門的な知識を修得しつつ、広く多角的な視点で世界の諸問題や関係性について考えていきます。そこにあるのは、学問の境界を超えて包括的に学ぶ「リベラルアーツ(教養)」の精神です。

多彩な専門分野の教員が揃い、ゼミナールも「東アジアの文学や文化について考える」「フランス地域文化論」「外国語や日本語の発音や聞き取り」など、さまざまなテーマで開講しています。
そのなかから、国際政治や歴史、宗教を研究する松本佐保教授の松本ゼミを覗いてみましょう。

ある人物の思想から、トランプ現象の本質を解き明かす

松本ゼミのテーマは「宗教と国際政治」です。
ゼミ生たちは現在、「ピーター・ティールや共和党の保守思想」について研究していて、『アメリカの新右翼 ─トランプを生みだした思想家たち─』(井上弘貴著)を読み解いています。
ピーター・ティールとは、オンライン決済「PayPal」の創業で巨万の富を築いた実業家・投資家です。アメリカのテクノロジー業界を代表する人物のひとりであり、トランプ大統領の有力な支持者です。


ティールがトランプ政権にどのように関与しているかについて、4年生の長島皐太さんは、「経済的に自由放任主義のリバタリアンであるティールは、ヴァンスを政権に置いて影響を与え続けています」と話します。
現在の副大統領、JD・ヴァンスは、かつてティールの投資会社で働いていた元部下です。2022年の上院議員選挙に立候補した際には、ティールが1500万ドルもの個人献金を行い、彼の政治キャリアをスタートさせました。その後、トランプに引き合わせたのもティールだとされています。

また、4年生の飯島翼さんは、「ティールは『安定は停滞であり、停滞を恐れる』と言っています。特に新しいテクノロジーを規制しようとするグローバルな制度への否定的な立場が印象的です」と話します。
ペンタゴン(国防総省)をはじめ、あらゆる政府機関とデータインフラ関連の契約を結んでいるティールは、テクノロジーのさらなる加速を望んでいます。そのため、それを規制しようとするリベラル・デモクラシー(自由民主主義)に批判的です。


今後ゼミ生たちは、さらにティールの思想を掘り下げていきます。すると、「民主主義による規制や"きれいごと"が、人類の進歩とテクノロジーの自由な発展を妨げている」というティールの考えと、「神の秩序が乱されている」というキリスト教保守派(右派)の危機感が、トランプという存在を介して結びついていることが見えてくるでしょう。

トランプ現象は、表面的な政治ニュースや経済の損得だけでは絶対に理解できません。その根底には、ティールのような思想やキリスト教的価値観に基づく熱狂が複雑に絡み合っています。
松本ゼミでは、思想・文化・歴史・宗教といった「人間の根底にある価値観」を深く掘り下げて理解し、複眼的な視点で世界を見る力を養っています。

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