薬学・微生物学

カビが薬に!? 未知の真菌を追え!

日本大学 薬学部 薬学科 病原微生物学研究室 廣瀬 大 教授

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この記事でわかること

カビやキノコ、酵母などの「真菌」は、実は新しい薬を生み出すヒントを秘めています。
日本大学薬学部では、高山や森林、海、火山地帯などから真菌を採取し、DNA解析や顕微鏡観察を通して、その正体や生き方を探究しています。
地球上には約150万種の真菌がいると推定されますが、現在発見されているのは約9万種。まだ知られていない約141万種の中に、未来の薬につながる物質が眠っているかもしれません。未知の世界を探るワクワクする研究です。

カビやキノコには、まだ知らないことがいっぱい!

カビ、キノコ、酵母――。
これらは「真菌(しんきん)」と呼ばれる生き物です。
「カビって、ちょっとイヤなイメージ......」と思う人もいるかもしれません。
でも実は、真菌には人間の病気を治す薬を生み出すヒントが隠されているのです。

真菌は、私たち人間と同じように「細胞の中に核を持つ」という特徴をもつ生き物。地球上で長い時間をかけて進化し、さまざまな環境で生きるための力を身に付けてきました。
そのなかには、人間の体に入り込んで病気を引き起こす「病原真菌」もいます。
ところが、そんな病原真菌が自然界のどこにいて、どのように生き、どうやって人間の体に適応してきたのかは、実はまだよくわかっていません。
つまり、カビやキノコの世界は、まだまだナゾだらけなのです。

真菌は、ほかの生き物と一緒に生きていくために、さまざまな化学物質をつくります。
そして、そのなかには人間の役に立つ物質があります。
たとえば、感染症の治療を大きく変えた抗生物質のペニシリン。
そして、血液中のコレステロールを低下させる作用を持つロバスタチン。
どちらも真菌がつくり出す物質が、医薬品の発見・開発につながった例です。
「もしかしたら、まだ誰も知らない真菌の中にも、新しい薬のヒントが眠っているのでは?」
そんな可能性を追いかけているのが、日本大学薬学部の病原微生物学研究室です。

目指すのは「未知の真菌」との出会い!

研究室では、病原真菌をはじめとする微生物について、さまざまな角度から研究しています。
たとえば、自然界にどんな真菌がいるのかを調べたり、真菌が持つ遺伝情報を解析したり、キノコがつくる酵素という物質について調べたり。
さらに、新しい薬の候補になる物質を探す研究も行っています。
そのために研究室のメンバーは、研究室を飛び出してフィールドにも出かけます。
高い山、森林、海、火山地帯......。
いろいろな場所でカビなどを採取し、研究室に持ち帰ります。
そして、そこから菌を取り出して育て、顕微鏡で観察し、さらに集めたデータをコンピュータで分析します。

※写真はイメージです

※写真はイメージです


ここで、驚きの数字があります。
地球上には約150万種の真菌がいると推定されています。
ところが、人類が発見できているのは、わずか約9万種。
つまり、まだ発見されていない真菌が約141万種もいると考えられているのです。
しかも、私たちの身近にいるアオカビのような菌でさえ、新しい種類が次々に発見されています。

ということは――

自然界には、まだ誰も知らない物質や、薬につながる可能性を持つものが眠っているかもしれません。
未知の菌を発見することは、まるで宝探し。
研究室では、発見した新種の菌を、新しい薬のもとになる物質を探す研究者につなぎ、創薬へ結びつける活動も行っています。

「わからない」からこそ、面白い!

真菌は、目では見えない小さな存在です。
でも、自然界ではほかの生き物と関わりながら、さまざまな役割を果たしています。

研究をしていると、思いどおりに進まないこともたくさんあります。
でも、それこそが研究の面白さ。
「まだ答えがわからない」から、自分で答えを探せる。
教科書に載っている答えを覚えるだけではなく、自分の手で未知の世界を探検する。
そして、その発見がいつか新しい薬につながるかもしれない。

カビやキノコを「ただの身近な生き物」と思っていたら、実はその小さな世界に、人間の未来を変える大きな可能性が隠れているかもしれません。

「未知の生き物を見つけたい!」
「新しい薬を生み出したい!」
「まだ誰も知らない答えを探したい!」

そんな好奇心があるなら、真菌の世界を探検してみませんか?

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